コクリコ   Coquelicot

 アダモ(Salvatore Adamo) の歌う 「インシャラー( inch’allah )」に、

           

       “イェルサレムの岩場に咲く コクリコ (coquelicot sur un rocher)” に鎮魂の

 

       祈りを聴く” という一節がある。

 

 

         この フランス語の コクリコ を日本語で “ひなげし” と言うとき、 可憐な

 

       花壇の花を想起するが、西方の大地にあっては、どこにでも自生する

 

       野の花である。そう、日本でなら、コスモスの群生する風景を想えばいい。 

  

 

         かつて、その コクリコ の原を目にした与謝野晶子は  

 

       『 あ々皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟こくりこ我も雛罌粟 』

 

       と詠じている。

 

         たよりなげで、それでいてしっかりと存在を主張する赤い花に異境の

 

       地での昂ぶる想いを託したのであろう。 

 

 

         この“火の色”は有名な モネのアルジャントゥイユのひなげし』 にも

 

       見ることができる。

 

 

         なお、コクリコは、英語では poppy、スペイン語では歌にもある amapola。

 

        この、まったく近似性のない呼び方のそれぞれの由来は何であろうか。

            

Claude Monet- Coquelicots a Argenteuil -